「頭の中の声」が、あなたの数億円の意思決定を狂わせるとしたら?

「見込み客の心の中の会話に忍び込め」という言葉があります。
広告の魔術師といわれたロバート・コリアーの名言です。

広告というと押しつけがましいイメージを持つ方もいるかもしれませんが、本質的には「他人の思考回路を理解するための道具」とも言えます。これは、社員や顧客、取引先など、周囲の人間を動かす必要のある経営者にとって極めて重要な技術です。

しかし、それと同時に無視できないのが、**自分自身の内なる声(セルフトーク)**です。
人を動かす前に、自分の思考がブレていては判断を誤ります。
多くの成功者は「外的ノイズ」には敏感ですが、「内的ノイズ」に無防備です。
その結果、瞬間的な怒り、焦り、恐怖、慢心といった感情が誤った意思決定を招きます。

この「内的ノイズ」に科学的にアプローチしたのが、イーサン・クロスの著書
Chatter 「頭の中のひとりごと」をコントロールし、最良の行動を導くための26の方法』です。

この本では、自分の頭の中にある声(セルフトーク)を「距離を取って観察すること」で制御できると説いています。
具体的には、

  • 自分を名前で呼ぶ
  • 第三者の目線で自分を語る
  • 過去に似た困難を乗り越えたときの自分を想起する

など、科学的に実証された方法で思考を整理し、冷静な判断を促すテクニックが紹介されています。

これは、年収1億円を超える事業主にとって極めて有益です。なぜなら、彼らの意思決定が一つ狂うだけで、失う金額も信用も桁違いだからです。

たとえば、1つの大規模な投資判断、採用、M&A、撤退のタイミング――
いずれも一瞬の「感情の波」で誤れば、数千万〜数億円規模の損失が生まれかねません。

つまり、外の世界を見るだけではなく、自分の頭の中の声(思考・感情・反応)をモニタリングする力こそが、真の意味でのリスク管理なのです。

この視点は、能楽の大家・世阿弥が説いた「目前心後(もくぜんしんご)」にも通じます。
目の前の演技をしながらも、心は後ろに置き、常に自分を見つめ続ける。
これは、舞台の上に立つ者だけでなく、常に意思決定を下す**経営者にも求められる「客観視の力」**です。

ですから、あなたはまず、自分の中の会話に意識を向けてみてください。
それは日々の意思決定の質を劇的に変えます。
そして、自分という存在をこの世で「最優先に幸せにすべき対象」として扱うこと。
それが、より大きな富と影響力をもたらす起点になるのではないでしょうか。